皆さん一生懸命に頑張って生活されていることと思います。大変お疲れ様ですが、頑張った割にはうまく行かないとお悩みの方も多いのではないかと思います。あるいは自分は頑張れないと落ち込んでいる方もいらっしゃると思います。そこで、いくつか気を付けておきたいポイントがございます。例えば睡眠不足で頑張っても頭がスッキリせず成果が出ないことは皆さんご存じだと思います。そこで診察中に普段からよく感じているポイントをご紹介させていただきます。皆様方には疲れすぎて燃え尽きることのないように注意していただきたいと思います。皆様の成功を後押しいたします。
調子のよい時にはがんばっている意識がないという事実
上手に頑張る人は人前では頑張っている演技をしているだけで冷静さを失っていない状態です。調子のよい人は、仕事をバリバリやってキラキラと輝いているのに、自分は頑張っている気持ちはないと言います。別に苦労ではないと言います。普通に楽しく仕事をしていると言います。決して無理をしていないのです。これが調子のよい人たちの特徴だと思います。過去に頑張っていた時には調子が悪かったと言います。その方々を見ていると、川の流れにゆったり乗っていけばよいだけで、そのようにすることで調和がとれて荒波立たずにうまく進んでいるように見えます。心の成長は、寛容でリラックスしてなおかつ頭が冴えた状態がそろった時に起きてきます、その時に重要な部分に気づき、逆に無駄な考えがあることに気が付きます。この状態が続けばよいのですが、残念ながらいつでもこのような調子のよい状態が続くと言うことにはなりません。
頑張りたいという意気込み
生まれつき全ての方に備わっている機能です。ただし、人それぞれに頑張り方は異なります。活躍しようと頑張る、人にやさしくしようと頑張る、人に迷惑をかけないように頑張る、争いが起きぬよう今のままで変わらないように頑張る。それぞれ性格に応じて色々ですので、熟慮が必要です。頑張る機能は色々な障害や妨害がなければ発揮できます。
自らが自発的に頑張りたいと思う時には前向きで調子が良い状態と言うことが出来ます。ただし、体力や疲労をチェックしながら、あまりに大きすぎる目標をすぐに達成しようと前のめりになりすぎて燃え尽きないように気を付けてください。心に余裕を持ちながら、今実現可能な目標に向かって、今できることに集中しましょう。一歩一歩進んでいくだけで大きな目標にも到達できることでしょう。目標が色濃いのは問題です、目標に意識を取られて今の作業に集中できません。薄い目標といいますか、あっち方向ねと方角があればよい程度です。
がんばらないと堕落するという心配
頑張らなくては生きていけないのではないか、毎日頑張らなくては、進歩しなくなってしまうのではないか、心の成長が無くなってしまい精神的に堕落してしまうのではないかと心配されることでしょう。
頑張っている状態は、大いに向上しよう、弱肉強食の世界で勝利しよう、ライバルより一歩前進しよう、自分のダメを取り返そう、ミスを取り返そうと言う状態で、敵を想定しており、自分も周囲も犠牲にして、盲目に突っ走る状態となってしまっている可能性があります。ケンカのような状態となっていないか確認が必要です。そうなる気持ちもわかります、より良く生きていきたいと思うのは当然です。しかし、先に進もうとしすぎて、やさしさや休養を軽視しないでいただけると摩擦が減ると思います。忙しすぎて攻撃的になって周囲に当たっていないでしょうか。急ぎすぎて周囲の話しを無視していないでしょうか。それとも、衝動的に余計な注意やアドバイスをしていないでしょうか。御自身にとっても疲労回復などのために立ち止まることもゆっくりする時間もあってよいと思います。いらだつ必要はありません。一日のうちで頑張る時間は数時間がせいぜいです。それ以上となると週単位、月単位というレベルになると長続きしない可能性があります。24時間頑張り続けなさいなどと他人にムチを打ってはいけません。それは無理です。無理にもかかわらず、まじめな人ほどあなたの言葉を信じて本当に走り続けてしまい燃え尽きてしまう人もいるのです。休むのが下手な人も多いのです。
頑張ることがアイデンティティー
世の中には頑張ることがアイデンティティーで自分らしさだと言う人はいます。それを否定するつもりはないです。人より頑張っていて優れた人はいますが、少数派です。他の人が頑張っていないように見えることもありましょうが、個々の性格によるのでイライラしても仕方がありません。失礼とは思いますが、あなたが気付いていないだけで、他の人たちはあなたと違う優れた部分があるのです。例えば円満というすぐれた性格です。頑張る性格の人は周囲の環境やグループ内の立ち位置などの変化でその性格が現れたり消えたりすることもあります。特に年度初めに新しいグループが出来た時、あるいは昇進などで頑張る性格が急に出てくる場合もあります。その際には疲弊しないように注意が必要です。逆に、頑張る性格の方が数年後にいつの間にか緩やかな性格に変わっていることも見受けられます。
人と比較して頑張る
急に無理をせずに、一歩一歩追い付いていきましょう。一年前より自分自身が前進していればよいと考えてください。嫉妬や愚痴が出てきたらどこか無理をしていないか確認しましょう、自分はその点についてはたいしたことがないと認めてしまっても大丈夫です、自分には他に良いところがあるのですから。
欲望にまみれて疲れ果てる
欲にまみれた状態や、浮ついた状態が頭を支配している時には、集中力は十分に出ません。頭に欲望がよぎって作業に集中できません。頭がごちゃごちゃしてしまいます。しかも欲望はキリがありません。欲望があまり強すぎては不都合です。一旦立ち止まって距離を置いてください。それだけが人生ではないと自分に言い聞かせましょう。ごちゃごちゃしない範囲で欲を持ちましょう。あるいは欲しくないものや興味のないことに嫌々な気持ちで集中力が落ちている時には、一旦課題から離れる必要があります。エネルギーが復活してから取り掛かっても良いのです。あるいはとりあえず得意なことから手を付けるのもありです。
頑張ることを大切にすると、疲れて眠いのに、頭がボーとしているのに、さらに頑張ろうと気合いを入れて、余計に頭が疲れて、頭が働かない状態に陥ってしまいます。前進しなくなってしまいます。心が成長(ストレスに耐える能力、焦らない能力など)しなくなってしまいます。悪循環に陥らないようにしてください。
期待に応えようとして疲れ果てる
期待に応えなければいけないと、体力以上のことを無理してやるというケースが多いのです。過大な期待に応えようとして疲れ果ててしまう、グッタリしてしまうと言うのでは、次が続かなくなってしまいます。無理せずにできる範囲で行動するのが良いかと思われます。ご自分の良心があだとならぬように気を付けたい所ではあります。
期限がせまって慌てる場合はあると思いますが、まずは最初から自分にできる分だけを引き受けたいものですが、そう簡単にもいかず、ここは個人の問題だけではなく、会社や組織の問題ともなりますのでどうしようもない部分と思います。要相談というところでしょうか。いずれにしても頑張りすぎた後はゆっくりしたペースに戻すことが大切です。
苦手なこと、つらいことを頑張る
こういう時は残念ながらあるかもしれません。仕方がないので淡々と進めてください。ただし、つらい状態が長期間に渡るようになると疲弊するでしょう。元気がないと物事に興味がもてないことと思います。不利な状況かもしれませんが、それでも集中できれば多少の面白さを経験できる可能性はあります。あるいは周囲の助けを借りて現状を打開しなければならないこともあるでしょう。
苦行で成長?
苦行をすると人は成長するのでしょうか、前のめりになりすぎたやる気を消耗することはできますし、やった気にはなりますし、周囲からの評価を得ることが出来ると思います。大変な苦行をしたから何でも乗り越えられると自信がつくかもしれません。
苦しい時や、苦行を続けた場合は集中力が保てませんので別に思考能力は上がりません。気づきが生まれません。苦行を続けることは人の成長につながるか分からないというのが本当のことなのではないでしょうか。苦行をすれば幸せになれるかは分からないのです。こころは元気でエネルギーが十分にあるときに、成長できるのです。また、他人に苦行を薦めることもいい迷惑になりかねないのです。脳が疲れていてはこころが成長できません。
集中力を上げること
頑張った後は休養を取っていますか?自分本来のやさしさと落ち着きを取り戻していますか。
盲目に頑張るという状態は危険が伴います。冷静な判断力と、集中力をもって、淡々と着々と少しずつ推し進めていくことが大切です。力づくでは集中力は働かないのです。ゆっくり落ち着いて焦らず、頭がスッキリとした状態で階段を一段ずつ上るように進んでいきましょう。一気に階段を飛ばし飛ばしに登るとなると無理をしすぎです。焦りがでて集中できなくなります。集中力は非戦闘状態で、熱くなっていない状態で、将来ではなく今に着目し、目標が高すぎず、目標に注目しすぎていない状態で冴えてくるのです。
リラックスしており、疲れていない状態で、力の抜けた状態で集中力が発揮されるのです。熱くなった状態は戦闘状態を誘発しますが、仕事や作業に対する集中力は不十分になります。一点のみに集中せず気が散ってしまっているからです。例えばノーベル賞を取る発見はお風呂に入っている時や散歩中などリラックスしている最中に起きるらしいです。ダッシュしている最中ではないのだそうです。プレッシャーが消失した時に頭が冴えるのだと思います。
考え込む
考え込むと人は成長するのでしょうか。元気な時にはそれほど考えこんではいないはずです。すらすらと楽に考えています。考えすぎてノイローゼになっていないでしょうか。頭がごちゃごちゃしないように頭を空にしてよいのです。ノイローゼの時には別の新しい風を吹き込む必要があります。自分以外の人からです。違う価値観を入れることで、考えすぎた脳の疲労を減らすことが出来ます。頑張らなくても、当たり前のことを当たり前にこなし、一歩一歩進んでいけばより目標に近づくでしょう。力を抜いていただければと思います。
「世間の価値観」対「こころの平穏」の両極を想定してみる
社交的、明るい、楽しい、年収学歴が高い、出世している、活躍している、皆の注目を集めている、人気があるなどの世間の価値観を追い求めすぎると、こころがセワセワして忙しくなるのを経験したことはおありではないでしょうか。こころが安らげない時には、無理をせず一旦はこころを平穏側に向けてあげることが必要です。「世間の価値観」対「こころの平穏」の両極では、ほとんどの方がこころの平穏な状態にバランスをとってあげると良いと思います。元気になったらまた動けばよいでしょう。その場合も今までよりこころが平穏な状態を維持しながらの方がうまく事が運ぶでしょう。
頑張ったあとは、立ち止まること
いままでのお話しが少しでも参考になれば幸いです。分からないと言う方には私の説明が下手で理解不足であると考えられますので、ここで謝罪させていただきたいと思います。ここまで読んでいただいて、「自分はやはり頑張る」という方がいても良いですし、「もう頑張りすぎない、力を抜きます」という方がいても良いです。「もう二度と頑張らない」と誓う人が出てきても心配いりません。生きている限りは、より良く生きたいという性質を全員が持っているので心配する必要はありません。繰り返しますが、自分の価値観に沿って頑張ると言う性質は全員にあらかじめプログラムされております。しかしながら自分の価値観だけが過大になっては、他の価値観を過小評価することになりかねませんので一方通行にならないように心がけたいものです。頑張って疲れすぎないように気を付けていただきたいと思います。感情だけで突っ走るのではなく、理性を持って気を楽に構え、疲れてくれば自分は疲れていると気が付いていただきたいと思います。しかしながら、難しいかと思います。
疲れを取りたいけれど疲れが取れないと言う方、頑張るようにプレッシャーをかけられている方、もうギリギリまでやってきてこれ以上頑張れない方、とてもきつくなってきている方、こころの違和感をお感じになられている方は日本橋茅場町こころのクリニックまでご相談ください。