Q1.睡眠薬の種類について教えてください
睡眠薬は効き目の強さや効き目の持続性で種類が分かれます。
寝つきが悪い場合には、超短時間型や短時間型の睡眠薬が使われます。夜中に何度も目が覚めたり、朝早く目が覚めてしまう場合には、中時間型の睡眠薬が使われます。
睡眠薬は、このような要因の他に健康状態や環境因子、ベースのこころの病の存在の有無や影響などを考慮して処方されますので、他の人の睡眠薬を利用したりせずに、医師に相談して使用するようにしましょう。
Q2.睡眠薬は一度飲み始めると止められなくなるのでは?
ストレスなどの不眠の原因が徐々に減り、睡眠障害が解消されていけば、睡眠薬を止めていくことができます。ただし、自己判断で睡眠薬を突然に中止してしまうと、服用前よりも一時的に不眠が強まる場合がありますので、睡眠薬を中止したい場合には必ず医師にご相談ください。
睡眠薬の止め方にはコツがありますので、併せてご相談ください。
Q3.睡眠薬は量を増やさないと、だんだん効かなくなっていくのでは?
現在一般的に使用されている睡眠薬は、昔のものに比べて安全性が高まっており、量がだんだんと増えていくことは少なくなっております。また、睡眠薬のみに頼らず睡眠衛生習慣の把握と調整に気を使う事も大切です。
Q4.睡眠薬は飲みたくないので、お酒を飲んで寝ても良いですか?
アルコールを飲んだ直後には眠くなりますが、アルコールは深い睡眠を妨げ、脱水症状を起こしてくることから、眠りが浅くなることが知られています。また、飲酒を長期間続けていますと、酒量が増えていくこともありますので、ご注意ください。
睡眠薬とお酒を同時に服用すると、著明な記憶障害や転倒、暴言などの副作用が強く出ることがあるので、控えるようにいたしましょう。
Q5.睡眠薬の副作用には、どのようなものがありますか?
どのようなお薬でも副作用があるように、睡眠薬にも副作用の存在が知られています。
- 注意力・集中力の低下
- 運動機能の低下
- 眠気
- ふらつき
- 頭痛
- 倦怠感・脱力感
最近の睡眠薬では、飲酒と比較しても、肝障害が起こる確率は格段に低くなっています。また、認知症になるようなこともございません。
Q6.夜にしっかり寝ているのですが、昼間の仕事中に眠くて仕方ありません。これも不眠症の一種なのでしょうか?
ご自身では、夜にしっかり寝ているつもりでも、実際には夜中のいびきや夜間の自覚していない不眠などで、熟睡できていない場合がございます。また、日中の覚醒障害がある場合がございます。それについては、メンタルクリニックでの問診で分かることがありますので、医師にご相談ください。
Q7.旦那の帰りが遅く、子どもが朝早いので、夜中にしっかり寝られません。よく昼寝をしているのですが、問題ないでしょうか?
生活環境上で家族のために必要とする時間が長く、物理的にまとめて睡眠を取れない事はつらい事ですが、日中に少しでも時間を作るようにして、寝られるときにできるだけ寝るように心がけましょう。また日中は太陽の光を浴びるなど生活リズムを崩さないようにしましょう。
Q8.お薬以外で、良い睡眠がとれるようになるにはどうしたらよいでしょうか?
以下、「健康づくりのための睡眠指針2014」(厚生労働省健康局作成)を参考に、よりより睡眠を取るための方法が「睡眠の12箇条」と呼ばれていますが、わかりやすくまとめました。
睡眠の12箇条とは
1.良い睡眠で、からだもこころも健康に
深い睡眠を十分にとることで、からだやこころが健康になります。
2.適度な運動、しっかり朝食、ねむりとめざめのメリハリを
昼間に運動をすることで、身体が昼と夜の認識をしますので、昼間の運動は夜間の深い睡眠にむすびつくと言われています。
また、朝ご飯を食べることで、身体が朝を認識し、寝ているときと起きているときのメリハリがつきます。
3.良い睡眠は、生活習慣病予防につながります
最近の研究で、睡眠不足は生活習慣病のリスクを高めることが分かってきました。睡眠不足は高血圧や糖尿病などのさまざまな病気のリスクを高めます。体重の増加に注意しながら、睡眠不足を解消していくことで、生活習慣病の発症を予防しましょう。
4.睡眠による休養感は、こころの健康に重要です
よく睡眠がとれていることは、こころの健康のバロメーターになります。逆に不眠があり、朝に目覚めたときに疲れが残っている、昼間に眠気があるといった症状がある場合には、うつ病やストレス性疾患の可能性があります。
5.年齢や季節に応じて、ひるまの眠気で困らない程度の睡眠を
睡眠時間の平均は、6~8時間ですが、年齢を重ねると睡眠時間が短くなり、朝型化することが一般的です。日中に眠気で困らない程度の睡眠時間を確保しましょう。
6.良い睡眠のためには、環境づくりも重要です
寝室と布団の快適な温度、不安を感じない程度の暗さ、気になる雑音をさえぎり、寝る前にはお風呂に入ったり、音楽を聞いたり、本を読んだりするなどリラックスをしてください。
7.若年世代は夜更かし避けて、体内時計のリズムを保つ
思春期では、休日に遅くまで寝ていたり、夜更かしをしたり、睡眠をとる時間が遅くなっていきやすく、睡眠時間が不規則になるので、注意が必要です。昼間に日光を浴び、朝はきちんと起きるなどの工夫をしましょう。
8.勤労世代の疲労回復・能率アップに、毎日十分な睡眠を
忙しい方は、睡眠時間が減りやすく、睡眠不足となりがちです。睡眠不足は翌日の仕事の能率を低下させたり、日中の眠気を引き起こし、ミスや事故を起こしやすくなります。
睡眠時間があまり確保できなかったときには、お昼の時間帯に15~30分程度の仮眠をすると効果的です。
9.熟年世代は朝晩メリハリ、ひるまに適度な運動で良い睡眠
熟年世代では必要な睡眠時間は短くなり、また睡眠途中トイレで起きることが多くなります。布団の中で長く過ごしすぎると、全体的に睡眠が浅くなることが分かっています。むしろ布団の中に長くいすぎないことが、深く眠れるコツです。日中に趣味や簡単な作業などの活動を取り入れましょう。心地よい景色を見ながらの散歩をするのも効果的です。
10.眠くなってから寝床に入り、起きる時刻は遅らせない
眠くないときには布団に入らず、別室でテレビを見たり本を読んだりして、夜を楽しむようにしましょう。楽しんでいるうちに緊張が解け、リラックスしてくると眠くなってきます。
布団の中で横になっているのに、眠れない状態が続くと、自分自身で睡眠に対する苦手意識を作ってしまうことにつながります。不眠に悩んでいる方は、布団の中に長くいようとしやすいですが、むしろ、眠くなってから布団に入るように気を付けましょう。睡眠に対する苦手意識を作らないようにすることがポイントです。
また、朝には一定の時刻で毎日起き、太陽の光を浴びましょう。
11.いつもと違う睡眠には、要注意
眠れていても日中の眠気や居眠りでお困りの場合は、専門家にご相談ください。睡眠中のいびき、呼吸停止、手足のぴくつき、手足のむずむず感、歯ぎしりは注意が必要です。
また、うつ病や不安障害でも、眠りが浅くなることがあります。
12.眠れない、その苦しみをかかえずに、専門家に相談を
不眠や昼間の眠気は、こころの病の始まりかもしれません。不安や苦しみを一人でかかえず、メンタルクリニックにご相談ください。