大きな会社であれば社員と直接接触している上司や同僚、もしくは産業医や人事課の担当者が、社員の変調に最初に気付くこともあります。小さな会社であれば社長やその奥さんが、最初に気づくかもしれません。
気が付いてあげたい社員の変調
最初の変調としては
- 楽しそうな表情が少なくなった
- 夜に眠れなくて昼間に疲れた顔をしている
- 仕事中に居眠りをする、ボーっとしている
- すぐに疲れてしまうようになった
- 仕事の進捗がいつもよりも遅くなっている
- 一人で悩んでいる時間が多くなっている
- 遅刻をするようことが多くなった
そういった場合に、うつ病や自律神経失調症の可能性がありますので、その変調に気付いてあげるとよいと思います。
社員の変調に気が付いたらすぐ対処
社員の変調に気が付いたら、早めの対処が必要です。ところが、会社や上司に自己保身の心理が働くと、状態を悪化させる場合があります。
社員に変調があった場合、その変調の原因が自社の環境や、たくさんの仕事を押し付け過ぎたり、残業が多すぎたりしたのではないか、自社に非があるのではないかと考えます。そして、大げさなことにしたくないという自己保身のような防衛本能が働くことがあります。
社員の変調に気が付いたとしても、そのまま放置しておくことで、より重いうつ病に発展してしまったら、かえって事が大きくなってしまう場合がるので、注意が必要です。
早めの対処をすることが、結果的に会社側だけでなく社員側にとってもメリットになります。
社員の変調の対処法
社員の変調に気が付いたら、まず、社員がどのようなストレスをかかえているのか、社員から見た人間関係上の仕事のやり辛さがないかといったことから点検しましょう。
仕事でのストレスが変調の原因だった場合の多くは
- 人間関係上のストレス
- 残業の多さ
- 締め切りが迫っていることの焦り
- なぜか敵対してくる社員がいること
変調の症状が軽ければ、上司や人事の方が、ご本人と話をする機会もち、事情を伺うことから始まります。会社側の方と相談するだけで、気分がすっきりして、立ち直れる場合があります。
そして、会社側としては、社員ご本人の仕事環境の改善が必要です。また、社員一人の状態が悪くなったとしたら、他の社員も問題が内在している可能性があります。
面談での正しいスタンス
面談したときに多いのが、社員にすべての原因を押し付けることです。例えば
- 社員のモチベーションが足りないのではないか
- 会社に対する貢献が足りないのではないか
- 本人のがんばりが足りないのではないか
- 本人の性格に問題があるのではないか
上司としては、そういった疑いを持つことはあるでしょう。しかし、それを直接本人に伝えてしまうと、本人は上司や会社に嫌われていると感じて、余計に仕事に対する意欲が減弱してしまう場合があります。
あくまでも、「社員の敵ではない」という姿勢が必要です。
社員によって、仕事能力や素養はひとそれぞれです。その社員の方が、一番能力を発揮できる状態を作ってあげることを想定するべきです。
他の社員と比較をしたり、上司の若かった頃と比較してしまうと、社員の方が自分のことをダメだと思ってしまって、社員の持っている能力を引き出せなくなる可能性があります。
会社の中には、人生をかけてがんばってきた人たちが多くいますし、体育会系の方も大勢いると思いますが、社員にうつ病の症状が出ている段階では注意が必要になります。
変調が出た社員の導き方
変調が出た社員の導き方として、次の3種類があります。
- 気合や鍛錬を求める
- 本人の良いところを示してやる気を引き出す
- 負荷を軽減してあげる
どの方法で社員をサーポートするのか、その使い分けにはセンスが必要なところもあり、難しいのが現状です。その判断は、ご本人が、メンタルクリニックに受診していただいた方が良いと思います。
会社の上司や人事課と、社員ご本人の話し合いがうまくいかない場合は、客観的な立場であるメンタルクリニックに相談することが良い場合があります。社員ご本人がメンタルクリニックに行かれることが理想ですが、それが無理な場合には、当初は上司や人事の方がご相談に来られても同伴で受診されることも可能です。