うつ病の診断書を持ってきたときの対応方法
社員が、遅刻や欠勤が多くなってきたり、仕事上でミスが多くなってきたり、時には何の予兆もなく、うつ病の診断書を持ってくることがあるかもしれません。その診断書には、「休職が必要」と記載されています。そのようなときに会社では、どのようにしたらよいのでしょうか?
そのような、社員がうつ病の診断書を持ってきた体験をされた方は、まず、会社側の責任問題を考える方も多いと思います。残業が多すぎたのではないか、人間関係に問題があったのではないか、大きな責任や負荷をかけすぎていたのではないか、社員の業務内容は本人のやりたいことだったのか、無理やり仕事をさせていなかったか、そういった思いが巡ると思います。
しかしながら、そのような社員がうつになったことに対して、会社の責任を考える前に、社員には早いうちに休職してもらい、精神的な安定をはかることが先決です。できれば、今日・明日中に、有給休暇の取得をさせてあげることが、本人のためになるだけでなく、会社のためにもなります。
社員がうつ病になってしまったときに、残業の多さや人間関係のトラブルなど、さまざまな要因が考えられますが、早めに休みを取らないと、会社で働くことに対する悪いイメージが強まってしまいます。早めに休暇を取っていただくことで、悪いイメージがつくことを避け、早めの復職につなげることが出来ます。うつ病から回復し、元気な状態になってから、また楽しく仕事ができるようにしましょう。
うつ病の診断書の内容
社員の方から、メンタルクリニックに相談があり、うつ病と認められ、休職が必要な場合には、診断書を作成いたします。
診断書には、初診日や「うつ病のため〇月〇日から月末までの休職が必要であることがみとめられる。」といったことが書かれています。
ただし、診断書に書かれている休職の期間は、うつ病の状況によって延期されることも多いです。うつ病と認められた場合、メンタルクリニックでの定期的な問診を受けて頂き、うつ病の状態を確認します。継続して休職が必要なときには、休職期間の延期のための診断書を作成いたします。
診断書を受け取った後の対応
診断書を受け取ったら、まず、うつ病の社員ご本人から事情を聴き、会社側に問題がなかったのか、うつ病の原因となるストレスの内容を知っておくのも良いと思います。念のため、診断書を出したメンタルクリニックに訪問して対応をご相談になることも可能です。が、会社の方が医師と話しをする場合には、プライバシーの問題があるために本人の同伴と同意が必要です。
会社側が本人と話しをされる際に、本人から事情聴取される方は、普段はうつ病の社員といっしょには働いていない、第三者的な方が望ましいことが多いです。
本人から上司に相談することがあっても、本当に正直なことは言いにくいことがあります。
事情を聴くのは、1回程度に抑え、早めに休職させてあげてください。複数回聞くことになると、いやなイメージを何度も思い出すことになるので、貴社に対して悪い印象を持ちやすくなります。
休職した後は、電話やメールは最小限にしてあげると、うつ病の社員はきちんと休めます。うつ病の治療においては、
一に休養
二にお薬
と言われるほど、休息が大切です。休息がきちんと取られた方から、復職していくとお考えください。回復までゆっくりと待ってあげましょう。
また、社員の状態が気になると思います。そこで、電話やメールで確認したいところですが、苦手な会社の人から電話がかかってきたら、またうつ病が深刻になる場合があるので、注意が必要です。
いつまで休職が必要か
仕事でのストレスが原因でうつ病になった場合は、会社や仕事のことを出来る限り忘れられた方から回復していきます。会社に対しての過度なストレスや思い入れがとれた頃に、うつ病が改善すると言っても良いと思います。
メンタルクリニックでは、患者様の症状や問診で話す内容から病状の改善を判断します。ある程度改善したところで、多くの場合は、患者様の方から「そろそろ会社に復帰したいのですけれども」と相談をされることが多いです。
医師は、本当にうつ病が改善しているのか、どの程度の職務まで対応ができるのか、本人の働きたいという意欲が回復しているのかなどを確認して、復職の判断をします。その後、復職が可能という判断をしたら、復職可能の診断書を作成します。それと並行して、社員の方から会社に「そろそろ復職できる」という旨を伝えていただきます。
そのときに、会社は産業医との面談や復帰後の部署の受け入れ態勢など、社員の受入の準備をしていきます。
うつ病の社員の方が仕事復帰する前に、その方との接し方を、メンタルクリニックの先生に相談しておくことも大切です。
復職後のスケジュールの立て方
大きな会社では、社員がうつ病から復帰したときのリハビリプログラムが用意されていることもあります。そのリハビリプログラムに沿って仕事復帰に取り組みます。リハビリプログラムがない会社では、段階的に
- 平日に通勤のみ行う
- 午前中のみの勤務に増やす
- 1日8時間勤務まで延ばしていく(この段階では復職となり給与が発生します)
という具合に仕事量を増やしていきます。どの程度の仕事量から始めるかの規定はありませんが、この期間中には、仕事内容はできるだけ軽いものに留めておきます。
それらのリハビリを終えたら、正式な復職となります。ただし、最初の2~3か月は、残業を控えるようにしてください。
うつ病がよくなった後でも、1年以内は再発することもありますので、メンタルクリニックへの継続的な通院による再発予防が必要です。
以上が、社員が仕事や人間関係のストレスでうつ病になってしまい、メンタルクリニックの診断書を持ってきたときの対応方法になります。もちろん、うつ病の状態によっては、上記のことと異なる対応が必要な場合もあります。できれば、社員がうつ病の診断書を持ってくる前に、変調に気付いてあげてください。
当メンタルクリニックでは、うつ病のセカンドオピニオンにも対応しています。お気軽にご相談ください。