生活や仕事をしていて、必ずといってよいほど、大小さまざまな不安を経験するものです。不安によって、さまざまな症状が発生しますが、その症状によって日常生活に支障をきたした状態では「不安障害」と診断されます。
不安でよくある症状には、次のようなものがあります。
不安でよく起こる症状
不安で動悸がおこる
不安で胸がざわざわする
不安で胸が苦しい
不安で眠れない(不眠)
不安で前に進めない
外に出るのが億劫
電車に乗ることができない、また電車に一人では乗れない
飛行機に乗れない
このような症状が現れる不安の原因について考えてみたいと思います。
不安のきっかけと原因
普段の自分であれば、何でもない問題であっても、不安におちいったときには、大きな困難に思えてくることがあります。そういった不安になるきっかけの例は
学校や会社で味方となってくれる人が少なくなってしまった
夫婦間での仲間意識が薄れてきてしまった
好きな人ができた
単身赴任を命じられた
地方から東京の大学に入学して一人暮らしをするようになってしまった
夫の仕事が忙しくて帰りが遅い
夫が定年退職をしてずっと家にいるようになった
仕事を辞めて主婦になった
一人暮らしになってしまった、一人暮らしである
このようなことがありますが、不安の原因をまとめると次のようになります。
不安の症状が現れる主な原因
- 孤独感
- 思春期
- 恋愛
- 仕事
- 生活環境の大きな変化
- ご年配の方
不安になる場合には、不安におちいる何らかのきっかけが見られることが多いです。その例として
- 会社で特定の人と会話したりすると不安になる
- 怒られると不安になる
- 何かミスしたのではないかと不安になる
- 会議や発表の場面で不安になる
- 受験前で過度の不安におちいる
- 同僚・家族・友人が自分の話を分かってくれるのかどうか不安
- 友達に嫌われるのではないかと不安になる
- 携帯電話がないと不安になる
- 鍵を閉めたかどうか確認しないと不安になる
- 手を何回も洗わないと不安
- すぐに到達できない目標を持ちすぎて焦って不安になる
- 理想通りの人生を生きられるかどうか考えたら不安になる
- 自分が大切にしている価値観から、現状が離れすぎて不安になる
普段社交的な人でも急に不安になることがあります。普段、セミナーの講師をしている人が、急にセミナーができなくなってしまうことがあります。また、ベテランの営業マンであっても、急に取引先でのプレゼンができなくなることがあります。
そういった症状は、パニック障害に近いかと思います。「いい発表をしたい」とがんばろうとする考えが強すぎて、ストレスがなくても急に不安になったり、無理がたたって動悸になる場合があります。「もう少しゆっくりやりなさい」という体のメッセージかもしれません。
不安を和らげるためには?
不安の原因を見ていると、「頼りになる人がいるかどうか?」が不安になるかどうかの分かれ目の一つであることがあります。
メンタルクリニックに通うまでもない段階であれば、不安になったときには、頼りになる人がそばにいてくれると、心の支えになります。一人でいる時間が長いほど、不安になりやすいものですが、ある特定の人だけに依存してしまうと、その人の言動に自分自身の心が大きく影響し左右されて、取り乱されてしまうことも少なくありません。
そのようなことから、頼れる人は、できるだけ多くいた方が不安の解消につながりやすいと言えます。
例えば、主婦が不安になっている場合に、頼れる人が夫だけだったとします。夫だけに頼るとなると、夫の機嫌が悪いときに、夫から心もとないことを言われて、かえって不安が増強されることもあります。献身的な夫であるほど、不安になっている妻を見ることは辛いことでしょう。
人間関係で不安が増幅されてしまった場合には、人間関係や夫婦関係などの距離間を微妙に調整していく必要があります。
頼れる人の中には、ある程度、客観的に人間関係を見てくれる人が必要です。
そのような人間関係の調整や距離感をアドバイスしてくれるところがメンタルクリニックです。不安が強すぎて人間関係が壊れることなどの事態が起こるまえに、メンタルクリニックに受診してください。
不安と被害的な思考との関連
自分が被害に遭って、損している気持ちになったり、自分が不幸なのではないかという気持ちになったりすることがあります。本人は被害に遭っていると思っているため、本人の心が苦しめられて、動悸が起きてくることもあります。
また、学校でのいじめや、会社の上司から怒られること、「相手が自分の意見や気持ちを聞いてくれない」「友達や上司から無視されているのではないか」「騙されているのではないか」といった気持ちが起きてくることがあります。
被害的な思考に陥りやすくなっていたり、実際に被害に遭うことで不安になってきている場合には、メンタルクリニックでどのような被害を体験されているかをお話しするだけでも、気持ちが楽になることが多いです。ですから、不安になった場合には、一人で悩まないでください。
不安障害について
ただの不安と不安障害の違いは、診断基準として「日常生活に支障をきたしているかどうか」「仕事に支障をきたしているかどうか」です。
日常生活や仕事に支障をきたしている不安障害には、次のような分類があります。
不安障害の種類
- 社交不安障害
- 全般性不安障害
- 強迫性障害
- 不安抑うつ混合状態
- 自律神経失調症
不安障害はうつ病の合併率が高いことが知られています。不安をほっておくと、ますます不安になってうつ病になりやすくなります。
メンタルクリニックでは
不安になったときにメンタルクリニックにご相談いただいた場合には、不安の原因について問診します。
不安の原因が人間関係の場合には、人間関係についてお聞きし、依存心の強さ、本人と不安の対象となっている人とお互いにストレスをどれくらい軽減できているかを確認します。それらを踏まえて、周囲の人間関係の調整、会話内容の調整や考え方といった、不安を改善していくためのアドバイスをしています。
不安による症状として、動悸がおこった場合には、かなり苦しいと思いますので、お薬を飲むことをお勧めしています。お薬で動悸を安定させると、切迫した気持ちが穏やかになりますので、自分の周囲のことを客観的にとらえることがしやすくなり、不安の解消がしやすくなります。