新しい親子関係を目指して
中学生高校生になると子供たちはたくさんのやるべきことが増えていきます。全部を完璧にやろうとしたらそれはもう時間も労力も全く足りません。中学同級生との関係、先生たちとの関係、親子の関係等についても疑問を持ち始めるのがこの頃ではないでしょうか?大人になってからも母親との関係に悩んでいる人が大勢いらっしゃいます。親子でも性格は全く違います。むしろ正反対の性格となることが多いです。自分にない素晴らしいものをお子さんは持っているかも知れませんので、見つけていきましょう。以下の記述は間違いも多くあるかも知れません。しかし、私自身が臨床で感じたことや気になったことですので、多少の参考になれば幸いです。少しの時間だけで構いません、ちょっとだけ首を突っ込ませてください。
頑張るのは母親?
母親は頑張れば頑張る程、イライラした口調で子供と接すると、子供にとって母親は驚異的な存在となっていきます。子供が期待したように行動しないと、どうしても母親は当然誰でもイライラしやすい状態になります。熱心になればなるほどイライラすることでしょう。このようなときには「今すぐに言うことを聞かせよう」と慌てないことです。数ヶ月あるいは半年後に今より良くなっていればそれで良い、と長期的なスパンで考えてみましょう。
ストレスの多い中で生きている子供たちにとって、むしろ母親は寛容でゆっくりとしていて安心できる存在であることを目指していきましょう。母親のイライラは、子供の聞く力を低下させ抑うつにし眠気や注意力の低下を誘います。また、子供と口論する事は子供を想像以上に疲れさせてしまいます。
子供の将来について不安が多いと、どうしてもイライラします。しかし子供自身を信じてあげましょう。今はダメだと思っても、親が明るく接することで、子供はてきぱきと動き、元気よく考え、だらしないと思われていた子が非常にしっかりとした子供に生まれ変わるでしょう。そのような例は多くありますのであきらめないで向き合っていきましょう。
教育は厳格であるべき?
教育に力を入れるという事はとても大切なことなのでしょう。しかし厳格な母親になってはいけません。常に子供に楽しいと感じさせなければいけません。子供に辛いと思わせてはいけません。やる気がなくなってしまいます。子供に強制させようとすると、どうしても子供は嫌な思いをすることになるでしょう。父親がこのようなことをたまにしても構いませんが、母親はこのようなことをしない方が子供は伸びていきます。
母親は、ゆとりがあってゆるい性格で子供の欠点やミスに気がつかないふりをするくらいで丁度良いです。子供の欠点は将来自然と改善されると馬鹿みたいに信じましょう。悪いところは放っておいて構いません。良いところを指摘して、良いところを伸ばしましょう。良いところが増えれば、悪いところは減っていきます。子供を褒めたら一週間待ちます。また子供を褒めて、また一週間待ちます。とにかく待ちます。するとどうでしょう。子供が明るくしっかりして来ませんか?スマホ依存が改善してきます、部屋に閉じこもらなくなります、親に心を開くようになってきます。1日で子供を変えようと思わない粘り強さが功を奏しました。子供の出来ることが増えてきます。興味のある範囲、夢中になる範囲が広がっていきます。好き嫌いが変わってきます。きびきび動くように変わります。おとなしくてゆっくりとした両親の子供は不登校の治りが早いです。
くれぐれも欠点のない母親になってはいけません。間違いだらけのゆっくりした母親で構いません。イライラした教育ママの子供に育てられては、将来はいい学校に入れないでしょう。ボケボケの子供からツッコミを入れられるくらいの母親の方が、子供はかえっていい学校に入ることでしょう。厳しい母親の子供がしっかりした大人になると言う迷信を捨てることから始めましょう。しかしこれを実行に移す事は容易ではないでしょう。専門家のサポートが必要だと思います。
両親の力のバランス
父親の言うことを聞いてみましょう。父親は優しすぎるのではないでしょうか。だからお母さんは1人でがんばってしまうのではないでしょうか。父親に今より威厳を持たせることで父親は家庭内で発言することができます。やや厳しい父親と優しい母親、この組み合わせが子供の教育に成長にベストであることが多く見受けられます(どうしてか分からないのですが、同じことを母親が言うと子供との距離が近いためネチネチした口調に聞こえやすく、父親が言うとイヤミのないさっぱりとした表現に聞こえることがあります)。家庭内での力関係のバランスを整えていくこともポイントの一つとなります。
個性を尊重する
子供の個性を尊重する。子供は人権をもうすでに持っていることに気がつきましょう。マイペースでやさしい子供は、母親から怒られても文句を言いません。母親にとても気を使っているからです。でもイヤな思いをしていることには間違いありません。文句を言わないから、いくらでも叱って構わないというのは配慮に欠けることにつながります。自分が叱っているということにどれだけ早く気がつけるかがカギとなるでしょう。どれだけ子供にイヤな思いをさせているか気がつくことが出来るか出来ないかです。多動の子供には、時には注意をすることも必要ですが、元気のない子供、眠い子供には注意をしてはいけません。励ましたり、頑張らせたりしない方が、元気になるのが早いでしょう。どの程度注意をしてよいのかこの場合であっても見極めが必要となります。当院では、親子関係の改善という視点を必要に応じて取り入れていきます。
もちろん、必要に応じてです。必要性を望まない方もあります。