症状は一見うつ病と似ていますが、適応障害ではストレス要因から離れることで、症状が改善することがうつ病と異なるところです。特定の状況や出来事がその人にとってとても辛く感じられるストレスとなり、そのために精神状態や身体状態、行動に症状が現れるこころの病です。
ストレスによって、落ち込んだり不安になったり涙が出たり、イヤなことが何度も思い出されてつらい状況

- 抑うつ気分
- 不安や心配
- イライラ感
- パニック
- 意欲の低下
- 脱力感や疲労感
適応障害とは
適応障害とは、特定の状況や出来事がその人にとってとても辛く感じられるストレスとなり、そのために精神状態や身体状態、行動に症状が現れるこころの病です。
症状は一見うつ病と似ていますが、適応障害ではストレスの原因がはっきりとしている場合です。ストレス要因から離れることで、症状が改善することがうつ病と異なるところです。
適応障害が起こりやすい主なストレス
日常生活や学校、職場において誰しもストレスに直面することがあります。適応障害が起こりやすい主なストレスをまとめました。人によっては、すごくイヤなことがあった、イヤなことを言われた、厳しいことを言われた、自分では頑張っているつもりなのに、良かれと思ってやっていることなのにと内心くやしい思いをされているのではないでしょうか。自分が大切にされていない、自分だけ厳しくされていると感じながら生活するのは辛いことと思います。そうした問題について、説明しても理解してもらえない、説明する環境にすらないなど、解決しにくいストレスに遭遇することがあります。
【生活】
- 夫婦の不和
- 子育てや教育上でのトラブル
- 家族や親戚の死別
- 引っ越し
【子ども】
- いじめ
- 受験勉強
- 運動会などのイベント
【仕事場】
- 過重労働
- 転勤・移動
- 退職
- 会社の合併
- 上司からの叱責
- 業績不振
同じストレスがかかっても、人によってストレスの感じ方が異なります。
例えば、学校の運動会にストレスを感じたとしても、勉強はストレスではない、その逆に運動会はストレスではないものの、勉強をストレスに感じるお子様がいます。
仕事であれば、忙しいとストレスに感じる方がいれば、その逆に仕事が忙しくない場合にストレスを感じる方がいます。
上司や先生が厳しい方でないと、仕事や勉強を十分にやった気にならない方もいます。逆に、上司や先生が優しくないと仕事や勉強に取り組めない方もいます。
このように、ある方が大きくストレスを感じている場面でも、多くの方は全くストレスを感じていない場合があり、ストレスの感じ方は個人個人によって色々です。
そのため、上司や先生が今までストレスに感じないことを、部下や生徒が適応障害になって物事に取り組めなくなっている状態を見て、「サボっているのではないか」と勘違いされ悔しい思いをすることもあります。実際には、真剣に頑張っている人に起こる確率が高いと言えます。
適応障害の主な症状
適応障害の症状は、精神症状、身体症状、問題行動の3種類に分類されます。
【精神症状】
- 抑うつ気分
- 不安・心配
- イライラ感
- 焦燥感
- 混乱
【身体症状】
- 疲労感
- 倦怠感
- 睡眠障害
- 食欲低下
- 痛み
- 不定愁訴
- どうき・過呼吸
- 手足の脱力感
- 発熱・頭痛
適応障害の診断
明らかなストレスがあってから、1カ月以内に症状が出現していること。症状の持続期間は、6カ月間を超えないことです。6カ月以上経過しても症状が続いている場合は、ストレスから時間的に経過し離れてきているために、診断の変更が必要です。
また、親しい人の死別によるストレスは、人として正常な反応であるために、「こころの病に含めない」という考えもあります。が、つらい状況でしたらご相談ください。
適応障害の治療法
適応障害の治療法は、まずストレスの原因をつきとめます。そのストレスに真正面から取り組むよりは、気分転換しながら、少しずつストレスとの付き合い方を決めていく、あるいはストレスの原因から離れることをします。
そのときに、ストレスの原因からどれぐらい離れることが現実世界の中で可能なのかを考えていきます。
適応障害を改善していくには、家族や学校の先生、仕事場の上司に相談し、ストレスを減らすことが大切です。そのときは適応障害の方は会社や学校などに伝える必要がありますので、心療内科など専門家への相談やアドバイスが必要になります。
適応障害を「たんなるサボりだ」と誤解しないでください。イヤなことが繰り返し思い出されて悩んでしまう状態とも言えます。ストレスをひきづって自分の力だけでは抜け出せない状態です。一人で悩まずに症状が重くなってしまう前に、心療内科にご相談ください。